『ポーンクロミア:原色調合線』三原色で敵弾を中和し足場を塗り拓くSTG
色を奪われ、白と黒のチェス盤のように均された都市で、無塗装の木製ポーンになった製図士が三原色の弾を撃ち分けて戦う。「ポーンクロミア:原色調合線」は、私アデクト芸夢が企画したオリジナルの架空ゲームです。敵弾に足りない色をぶつけて黒に中和し、撃ち漏らした弾が床を染めて足場の性質を書き換える。守るための射撃が、そのまま道づくりになるシューティングを設計してみたくなりました。製品ではなく企画書の段階ですが、ルールの細部まで本気で語ります。

タイトルとコンセプト
「ポーンクロミア」は、歩兵駒のポーン (Pawn) と、色彩を意味するクロミア (Chromia) を合わせた造語です。最も小さな駒が、色を取り戻す戦いの主役になる。その皮肉と愛着を込めました。副題の「原色調合線」は、原色を調合する作業と、盤上を走る線(弾道と移動ルート)の二重の意味です。英題の Spectrum Traverse も、スペクトルを横断するという同じ発想から来ています。
キャッチコピーは「白黒に凍てついた街盤を、三原色の弾道で滑走せよ。」です。
- ジャンル: 色彩調合・盤面変形トップダウンシューティング
- 想定プラットフォーム: PC、家庭用ゲーム機
- プレイ人数: 1人
- プレイ時間: メインストーリークリアまで約8〜10時間
世界観とストーリー
舞台は、かつて芸術で栄えた都市ルミエ。突如現れた巨大吸引機関がすべての光と色素を吸い上げ、街は純白と漆黒だけのグリッド状の盤面に変わりました。住人の体は木製や石膏の「駒」に固められ、物理法則まで固定され、色のない空間では時間さえ緩慢に凍っています。
動いているのは、街から奪った色素を兵器として撃ち出す自動機械軍だけです。
都市の図面を描いていた製図士ラルゴは、この異変で魂を木製ポーンに封じ込められます。目覚めた彼は、地下の廃印刷所に潜む調色機オパリンと通信をつなぎ、背中に3連装の原色射出砲を取り付けて盤上へ出ていきます。敵の首魁は、集めた色彩で何を作ろうとしているのか。色を取り戻すたびに、ラルゴは街が白黒にされた本当の理由へ近づいていきます。
キャラクター
ラルゴ
主人公であり自機です。元は若い製図士で、いまは無骨に削り出された木製ポーンの姿をしています。強みは、線と空間を読む精密な把握力。弾道と足場を「図面」として見る人物が主人公なら、プレイヤーが色と移動ルートを同時に考える遊びにも説明がつくと考えました。
オパリン
地下印刷所の奥で生き残った球体型の調色ドローンで、三原色の補給と戦術分析を担当します。口調は皮肉混じりですが、助言は的確です。正直に言うと、ナビゲーター役は説明係になりがちで、そこが一番怖いところです。そこで、役に立つ情報を皮肉の言い回しに包んで、うるさくならない距離感を狙っています。
剥色卿ニグレド
都市の色彩を残らず抜き取り、世界を静止と秩序だけのチェス盤に作り替えようとする支配者です。姿は巨大な石膏のキング駒。色を「無駄」と断じる冷たさを、動かない巨体で表現したいと思っています。
ゲームシステム
減法混色イレイザー (Subtractive Neutralizer)
このゲームの中心です。敵弾は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の単色か、2色が混ざったR(赤=M+Y)、G(緑=C+Y)、B(青=C+M)のどれかで、プレイヤーはボタンごとのC/M/Y弾を撃ち込みます。弾の成分がCMYすべて揃うと、完全な黒(K)になって霧散消滅します。緑の弾ならMの1発で消滅。仕様から言えば、単色弾には2発、2色弾には1発が必要です。
迷ったのは混色の方式でした。光の三原色による加法混色なら、混ぜるほど白に近づきます。ただ、舞台は色を奪われた白黒の街。色を足して明るくするより、色を揃えて黒に落とすほうが、物語の方向性にも合致すると判断しました。そして何より、弾幕を避けるだけでなく「色を暗算して撃ち落とす」能動的な判断を爽快感の中心に置きたかったのです。

▲ 画面イメージ: 白黒の交差点での激戦。敵の青(ブルー)弾幕に対し、主人公がイエロー弾を連射して相殺を狙う場面。
この場面では、画面のどこにどの色の弾が飛んでいるかを見分ける速さに注目してください。単色弾と2色弾が混在するので、必要な弾数がそれぞれ違います。慣れるまでは頭が忙しいはずで、好みが分かれる部分だとは思います。それでも、覚えた色の組み合わせが指先に落ちた瞬間の気持ちよさは、このゲームでしか出せないと信じています。
グリッド・ペイント・キネティクス (Grid Paint Kinetics)
相殺に失敗して床に落ちた弾や、敵を倒したときの飛沫は、白黒のタイルを染めます。色ごとの効果は次の通りです。
シアンのタイル上では摩擦ゼロの慣性滑走が発生し、最高速度が2倍に跳ね上がります。マゼンタ上では旋回性能が極大化して鋭角ターンが可能。イエロー上では約0.8秒の低空跳躍が発生し、地表の弾を飛び越えます。混色されたタイルはその複合効果を発揮します。
意図は単純で、撃ち合いの結果が次の移動の選択肢になるようにしたかったことです。撃ち漏らしは失敗ですが、床に残った色はそのまま足場になります。失敗を完全な損失にせず、次の手へつなげる設計です。

▲ 画面イメージ: 着色されたタイルを活用した移動。シアンの滑走ラインとイエローの跳躍床を自前で敷き、巨大ボスの足元をすり抜ける場面。
ここでは「自分で敷いた道」を見てほしいです。巨大ボスをかわす道は、最初から用意されていません。プレイヤーが撃った弾の色で、その場で作られます。
ターン・シフト・ブラスト (Turn-Shift Blast)
黒化相殺を成功させるたびに「スペクトルゲージ」が溜まります。最大になって発動すると、世界の時間が数秒間止まり、自機の直線移動ルートと3色同時の一斉照射の向きを予約入力できます。時間が再開した瞬間に予約が超高速で実行され、盤面の弾幕を一掃します。
リアルタイムのシューティングに計画フェーズを混ぜるのは、テンポを壊す危険もあります。そのため時間停止は数秒のみ。駒を動かす手番のようなパズル的快感を、息継ぎとして差し込む狙いです。ここは企画の中でも、特に調整が難しい部分だと予想しています。
インク・チャンバー・カスタム (Ink Chamber Custom)
敵が落とす純度顔料を使い、C・M・Yそれぞれのノズルの性能を個別に改造します。シアンの弾速を上げて遠距離迎撃に振る。イエローの拡散度を上げて、跳躍エリアを作りやすくする。そうしたビルドの幅を持たせ、苦手な弾幕やボスの行動に、腕前だけでなく調合でも答えられるようにします。
進行と敵弾の変化
舞台は全6区画で、低層商業区、時計塔広場、旧美術館などを抜けていきます。敵弾は単色から複合色へ進み、やがて時間とともに色相環に沿って色が移り変わる「グラデーション弾」が現れます。撃ち込む色を、撃つ瞬間の色ではなく到達時点の色で決める必要が出てくるわけです。ボスを倒すごとに貫通インクや持続着色ボムなどの特殊ノズルが解放され、盤面を制圧する力が増していきます。
攻略のコツ
仕様から導ける動き方を挙げます。
- 緑の弾幕を見たらマゼンタを1発。足りない原色を1発足すだけで黒化して消えます。
- 大型ボスの突進が来る前に、足元へシアンを撃ち込んで摩擦ゼロの滑走レーンを作っておくと、素早く離脱できます。
- イエローのタイル上では、約0.8秒の滞空中は床スレスレの弾を無傷で抜けられます。密度の高い箇所は、あえてイエローを床に落として跳び越えます。
- 直角に曲がりたい逃げ道にはマゼンタを用意します。シアンの滑走中でも、マゼンタを踏めば慣性が止まって急旋回できます。
- 敵弾と同じ色を撃ち込むと、相殺されずに弾が巨大化し、床を一色に塗り潰します。焦って同じ色を連射するのは自滅への近道です。
ターン・シフト・ブラストでは、イエローで跳んでからシアンで敵の背後へ回り込む、一筆書きのルートを予約すると安全に大ダメージを狙えます。

▲ 画面イメージ: 地下印刷所の拠点画面。オパリンと共に原色射出ノズルの調合比率と噴射パターンを調整しているメニュー画面。
拠点の調合画面は、戦闘の外で行う作戦会議です。苦手な色の弾が続くエリアで詰まったら、腕前を疑う前にノズルの配分を見直してください。たとえば、イエローの拡散を上げて跳躍エリアを作りやすくすれば、跳んで避ける方針で押し切れます。
デザイナーズノート
一番こだわったのは、「撃つこと」と「動くこと」を別々の仕事にしないことです。防御のための射撃が足場の設計になる、という一点から、ほかのルールは全部逆算しました。
捨てた案もあります。最初は、色を切り替えるホイール式の1ボタン操作を考えました。ただ、色を選ぶ操作が増えると、暗算の速さが指の操作で鈍ってしまいます。そこでボタンごとにC/M/Yを割り当てる形にしました。ボタンが増える代わりに、判断がそのまま入力になります。
今後足したい要素は、色覚の違いに配慮した識別補助です。色が核のゲームで、色だけで弾を見分けさせるのは設計として不誠実だと考えています。弾の形や縁の模様でも成分が読めるようにするのは、必須の項目として企画に入れておきたいところです。
色は、撃って取り戻すものにしたかったんです。


